薬局の譲渡を検討する際、もっとも心配なことのひとつが、お世話になってきた門前医療機関の先生のご反応です。 「先生に反対されるのでは・・?」「承継後もうまくやってくれるのか・・?」譲渡案件の売手様から、よくいただくご質問・ご不安のひとつです。
「薬局の譲渡はしたいけど、譲渡したら、一緒にがんばってきた先生に顔向けできない・・」
私自身、上記のような話を、薬局経営者様からご相談を受けた経験は、一度や二度ではありません。実際に、先生への印象・反応を懸念され、譲渡の推進自体を断念された経営者様も、いらっしゃいました。
また、実際に案件を進め、売手様、買手様ともに譲渡条件に合意したものの、門前医療機関の先生に、経営者が代わる旨挨拶に行った際に、譲渡を反対され、承継に至らなかったケースも、ゼロではありません。
ただ、これまでの経験を振り返ると、全承継案件の中で、門前医療機関の反対に合い、承継が破談になったケースは、全体の5~10%あるかどうか、という印象です。あくまで、弊社にて承継のお手伝いをさせていただいた案件に関してですが、きちんと承継のご経緯をお伝えし、丁寧に買手様を紹介すれば、スムーズにご譲渡のお話をご承諾いただけたケースが殆どだったように記憶しています。
実際、わたくしが承継のお手伝いをさせていただいた薬剤師の方が、門前の先生に、「自身に薬局が承継されて、率直なところどうか?」と聞いてみたことがあるそうです。ちなみに、上記薬局は、もともとは複数店舗薬局を経営する法人が運営しておりましたが、譲渡後は、経営者兼管理薬剤師として、個人(薬剤師)の方が運営をされています。
先生曰く、「当時の薬局運営法人から、突然『○月から薬局が変わる』と言われた際は、最初はすごく驚いたし、どんな方が来るのか、正直不安な気持ちもあった」とのこと。
たしかに、今まで一緒に運営をしてきた薬局から、急に数ヶ月後の撤退を聞かされたとなると、戸惑いもあられて当然のことだと思います。
しかし、譲渡後は、先生より好評をいただいているようです。先生からは、「以前の運営薬局での勤務薬剤師には頼みづらかったことも、薬剤師兼経営者である新社長には、相談しやすく助かっている」とお話いただいています。
また、逆に、先生も以前法人が薬局を運営していた際は、自身が好きな薬を使っていたが、個人に運営が代わってからは、「まだ資金も少ないだろうから・・」と不動在庫がでないように、いろいろとご配慮をいただいているようです。
もちろん、相性もあるでしょうし、全ての承継がうまくいく訳ではないと思いますが、上記薬剤師社長が、「個人医院×個人薬局だからこそ良好な関係が築ける」と、先生とのお話を受け、自信を持ってお話をされていたのが印象的でした。
もちろん、門前医療機関の先生の中には「可能であれば今の体制を変えたくない」という方も、多くいらっしゃるかと思います。
ただ、本当に先生(及びその背後にいる患者様)のことを考えると・・・「その地域にて、よい形で薬局が残ること」が一番大切なことです。
経営者の体調不良、後継者問題、薬剤師の採用難などで、現在の薬局の継続が難しくなった場合、薬局がなくなってしまうよりは、何らかの形で「地域に薬局を残す」ことを考えるべきという考え方もあります。
ぎりぎりまで運営を続けることで、承継すら間に合わず、閉局を余儀なくされたケースも目にしてきました。先生への譲渡の告知・挨拶は、気の重い工程ではありますが、手遅れになる前に、検討された方がよいかもしれません。
わたしたちCBアドバイザリーは、調剤薬局の多様な事業承継のご支援を通し、皆様が大切に運営してきた薬局と地域医療を新しい世代へとつなぐため、<事業承継を検討の薬局>×<独立開業希望の薬剤師>双方の最適なマッチングを行っております。
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