「うちは後継者がいるから店舗譲渡は考えていないよ~」とは、よく伺う話ですが、本日は、ご子息やご令嬢など後継者の方へのスムーズな承継を叶えるために、複数店舗のうちの1部店舗を第三者に譲渡された経営者様のエピソードについて、ご紹介いたします。
「引退」という言葉が頭をよぎった際、もし、ご子息やご令嬢が薬剤師で薬局経営に興味をお持ちの場合、お子様が後継者の第一候補になられるのではないでしょうか。実際、手塩に掛けて育ててこられた薬局様をお子様が引き継いでくださるのはとてもありがたく、頼もしいことだと思います。
ただ、昨今の診療報酬や薬価改定の状況を考えると【薬局運営=安泰】という単純な方程式は描きにくくなってきています。そのため、後継者に承継される前に、採算の取りづらい店舗を整理し、運営がしやすい状態で世代交代する、といったケースも耳にするようになりました。
また、採算性には問題がない場合でも人材確保がしづらい店舗や、1店舗だけ場所が離れているという店舗を後継者への承継前に切り離す・・・といった事例も最近では増えてきています。
わたくしが最近お手伝いをさせていただいた案件も、正に上記のような後継者がいるけれど、承継前に店舗の整理をした・・・という事例でした。
経営者様は、1代で10店舗程度運営する薬局法人を築き、ご子息も経営者様の背中を追うように薬学部へ進学。ゆくゆくは、ご子息に会社を継いで頂くというお考えです。
そんな中ご相談いただいたのが、その中の1店舗を譲渡するというお話です。こちらの法人、関東のとある県を中心に展開をしているのですが、1店舗だけ、主要エリアから車で2~3時間ほど離れた、県外に展開をされていました。採算性は悪くないものの、採用難のエリアでもあり、ドミナントエリアから距離もあることから、経営管理がしづらくて手放したい・・・というご相談をいただいていました。
今回お話にあがった1店舗は、薬剤師1.5~2名体制の小児科の薬局。
たしかに、薬剤師1~2名体制の薬局ですと、+αの人員を置く余裕はないですし、常勤薬剤師が退職してしまうと薬局運営が回らなくなるという恐怖と隣り合わせ。また、小児科のため、夏は人員が必要ないものの冬は非常に忙しいという特性もあるため、後継者様の苦労も目に浮かびます。
薬剤師採用が簡単ではないエリアの特性上、本案件で手を上げられたのは、ご自身が薬剤師人員としても入ることが可能な薬剤師ご夫妻でした。お子様がいらっしゃるため、奥様はフルでの勤務はできませんが夏場はヘルプ程度。冬場は延長保育に預けちょっとがんばって旦那様のサポートと、ご夫妻で薬剤師であることから、比較的柔軟な対応が可能とのお話でした。
承継後もときどきご様子をお伺いしていますが、忙しい中でも充実した店舗経営をされている様子で、私もほっと胸をなでおろしています。また、薬局の経営者様からは薬剤師退職の不安から解放され安心された旨、お話をいただきました。
今回のケースは、一見「後継者もいて、採算性も取れていてなぜ?」と考えてしまいますが、ご子息が継がれた後の経営管理の苦労・リスクを考えると納得のお考えです。
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