薬価制度の抜本改革について、押さえるべきポイント

2018-03-27

2018年度の薬価改定より、薬価制度の抜本改革の取り組みが始まります。薬価については薬局の売上、利益に直結するものですので、薬局経営者の方々には無視できない内容になってくると思います。薬価制度の抜本改革のポイントを押さえて4月以降に備えていきましょう。

薬価制度の抜本改革について、押さえるべきポイント

薬価制度の抜本改革の基本方針について

薬価制度の抜本改革を理解するには「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」(H28.12)を知る必要があります。ここでは、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」についてお話し致します。

薬価制度の抜本改革に向けた基本方針では以下のように明記されています。
「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」を両立し、国民が恩恵を受ける「国民負担の軽減」と「医療の質の向上」を実現する観点から、薬価制度の抜本改革に向け、PDCAを重視しつつ、取り組むものとする。

なぜ薬価制度の抜本的見直しが行われるようになったのでしょう?大きく言えばやはり医療費削減のためです。医薬品が開発され、許認可が下りるとその医薬品は市場に出回りますが、革新的な薬であればとても高額になるものもあります。このような医薬品に対して、現在の薬価制度は柔軟に対応できておらず、国民負担や医療保険財政に影響を与えていると政府は考えたのです。
ただ、医療費削減により国民と財政負担を減らすだけではなく、医療の質の向上にも目を向けていくというのが根本的な考えになります。

薬価制度の抜本改革の概要

基本方針を踏まえて、実際にはどのような施策を行うのか、薬価制度の抜本改革の内容についてみていきましょう。

薬価制度の抜本改革は大きく8つの項目に分けられます。

1.新薬創出等加算の見直し

画期性加算、有用性加算、営業利益率補正がなされた医薬品、希少疾病用医薬品、新規作用機序医薬品(基準に照らして革新性、有用性が認められるものに限る。)等に絞り込み、革新的新薬の創出を促進するための効率的・効果的な仕組みへと抜本的に見直した上で、制度化を検討。

2.効能追加等に伴う市場拡大への対応

保険収載後の状況の変化に対応できるよう、効能追加等があった医薬品は全て、NDB(ナショナルデータベース)により使用量を把握し、その結果、市場規模が 350 億円を超えたものは、年4回の新薬の保険収載の機会に市場拡大再算定のルールに従い、速やかに薬価を改定する。

3.イノベーションの評価について

①新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度の抜本的見直し
対象品目については、医薬品そのものの革新性・有用性(注)に着目して判断する仕組みとする。企業要件については、引き続き、未承認薬・適応外薬の解消に取り組むため、国からの開発要請に適切に対応することを前提条件とした上で、企業が更なる革新的新薬開発に取り組むインセンティブとするため、革新的新薬の開発やドラッグ・ラグ解消の実績・取組を指標とし、これらの指標の達成度に応じて、加算額を段階的に設定することとする。
②新薬のイノベーション評価の見直し
イノベーションの推進の観点から、類似薬のない新薬の評価のあり方を見直し、原価計算方式で算定された医薬品のうち、製造原価の内訳の開示度が高いものについては、薬価の加算額の引上げ等を行う。

4.外国平均価格調整の見直し

現在、新薬の薬価算定の際、米・英・独・仏の4か国の医薬品価格を参照して、薬価を調整しているが、米国については、現在参照している価格リスト(Red Book:メーカー希望小売価格)は参照しないこととし、米国の公的制度(メディケア・メディケイド)で用いられている価格リスト(ASP/NADAC)を参照する。

5.費用対効果評価について

費用対効果評価については、原価計算方式を含め、市場規模の大きい医薬品・医療機器を対象に、費用対効果を分析し、その結果に基づき薬価等を改定する仕組みを導入する。これに向けて、試行的実施の対象となっている 13品目について、これまでの作業結果を踏まえ、2018年4月から価格調整を実施するとともに、試行的実施において明らかになった技術的課題への対応策を整理する。併せて、本格実施に向けて、その具体的内容について引き続き検討し、2018年度中に結論を得る。

6.長期収載品の薬価等の見直し

日本の製薬産業の構造を、長期収載品依存から、より高い創薬力を持つものへと転換する観点から、後発品上市後 10 年を経過した長期収載品の薬価について、後発品の薬価を基準に段階的に引き下げる。
具体的には、① 後発品置換率が 80%以上となった品目は、まず薬価を後発品の薬価の 2.5 倍に引き下げ、その後、6年間かけて段階的に後発品の薬価まで引き下げる。
② 後発品置換率が 80%未満の段階であっても、同様に、まず薬価を後発品の薬価の 2.5 倍に引下げ、その後、10年間かけて段階的に後発品の薬価の 1.5 倍まで引き下げる。
その際、引下げ幅が著しく大きくなる品目等については、円滑実施の観点から、適切な配慮措置を講ずる。

7.後発品価格の集約化

現行では、後発品の価格帯は3つに集約されているが、長期収載品の薬価の見直しに伴い、上市から 12 年が経過した後発品については 1価格帯を原則とする。ただし、後発品置換率が 80%以上であって、先発品企業が撤退する品目については、安定供給に貢献する後発品企業(先発品企業撤退分の増産対応を担う企業)の品目とそれ以外の後発品企業の品目に分けた2価格帯に集約する。

8.毎年薬価調査・毎年薬価改定

対象品目の範囲については、2021年度に向けて、安定的な医薬品流通が確保されるよう、国が主導し、単品単価契約、早期妥結、一次売差マイナスの是正等を積極的に推進し、流通改善に取り組むことにより、薬価調査が適切に実施される環境整備を図りつつ、国民負担の軽減の観点から、できる限り広くすることが適当。
2018年度から2020年度までの3年間継続して、全品目の薬価改定が行われることから、この間の市場実勢価格の推移、薬価差の状況、医薬品卸・医療機関・薬局等の経営への影響等を把握した上で、2020年中にこれらを総合的に勘案して、具体的な範囲を設定。

薬価制度の抜本改革は以上の8項目がポイントとなります。

薬価制度の抜本改革は薬局経営者にどのような影響をもたらす?

これまでの薬価改定は主に市場実勢価格に基づく改定だったので、仕入値の設定についても比較的分かりやすいものでした。例えば、7%の薬価引き下げになった製品であればそのまま7%引き下げた仕切価で設定することが多かったと思います。しかし、2018年度の改定では抜本改革が行われるため、薬価の設定がこれまでよりも煩雑になりました。
また、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の対象品目が絞り込まれることや、長期収載品の薬価が強制的に引き下げられることなどから、企業ごとに仕切価の設定を検討することが予想されます。
製薬メーカー、卸、品目ごとに様々な設定が決められるため、薬局経営者にとっては薬品の仕入価格についての交渉が煩雑かつより細かくなっていくでしょう。それがこれからは毎年薬価調査・毎年薬価改定によって年に1回行われるのですから、業務負担が増えることは容易に想像ができます。
今後は厳しくなる仕切価の交渉をより有利に進めるため、業務負担を軽減させるために、医薬品購入のネットワークを利用するなど、対策が必要になってくるのかもしれません。

【連載】2018年『薬価改定』について知ろう!

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田代 千夏

前職は医療業界商社の営業として勤務しておりました。その後、医師・薬剤師の転職支援を経て、現在は開業支援を担当しております。得意エリアは九州・中四国です。フットワークの軽さには自信があります。いつでもお声かけください!

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