「昔は30%くらい薬価差益が取れたから良い時代だったよ。今では薬価改定で薬代がどんどん下がり、薬価差益はもう期待できないね…。」と諦め気味に語る社長がいました。本当に諦めてしまっていいのでしょうか?仕入価格の違いを甘く見ていませんか?
薬価差益の考え方について、今一度考えてみましょう。
一般的に会話の中で薬価差というと上記のとおり、薬品納入価格(税抜き)に対して使われていることが多いと感じます。薬局の社長と話しをしても、この理解で話が食い違うことはありません。
例えば薬剤料が100万円で、薬品納入価格が85万であれば、薬価差益(税抜き)は15万円、薬価差益率(税抜き)は15%ということになります。
しかし、消費税分はしっかりと国に収めなければなりません。実際に手元に残る本当の利益を考えると以下の式になります。
例えば薬剤料が100万円で、薬品納入価格が85万(消費税8%込918,000円)であれば、薬価差益は82,000円、薬価差益率(税込)8.2%ということになります。厚労省で言う「乖離率」はこれを指しています。
分かりやすく、毎月の薬剤料1,000万円で薬価差益率(税抜き)がA薬局10%とB薬局12%を想定して考えてみましょう。
薬剤料(1,000万円)× 薬価差益率10% = 薬価差益税抜き(100万円)
薬剤料(1,000万円)× 薬価差益率12% = 薬価差益税抜き(120万円)
これではまだ消費税が考えられていませんね。消費税も考えて、実際に手元に残る金額を計算してみましょう。
薬剤料(1,000万円)- 薬価差益税抜き(100万円)= 薬品納入価格(900万円)税抜
薬品納入価格(900万円)× 1.08 = 薬品納入価格税込(972万円)
薬剤料(1,000万円)- 薬品納入価格税込(972万円)= 28万円
薬剤料(1,000万円)- 薬価差益税抜き(120万円)= 薬品納入価格(880万円)税抜
薬品納入価格(880万円)× 1.08 = 薬品納入価格税込(950万4千円)
薬剤料(1,000万円)- 薬品納入価格税込(950万4千円)= 49万6千円
A薬局の薬価差益は28万円、B薬局の薬価差益は49万6千円。約1.8倍の違いがあります。納入価格が2%変わったから、薬価差益も2%変わってしまう、は間違いです。納入価格にたった2%の違いがあっただけなのに、薬価差益を見てみると、約1.8倍の違いがあります!
(タイトルに書いてある、倍までは届きませんでしたが…。)
薬価差益を大きくするために、売価(薬剤料)を高くして販売したいところですが、保険調剤は調剤料が国で定められています。そう考えると薬価差益を大きくするためには、納入価格を安くすることのほかにありません。
先ほども申し上げたとおり、納入価格2%の違いが、薬価差益(税込)で考えると大きな利益の違いを生んでいます。納入価格1%の違いを侮ると、大きな損をしてしまいます。薬価は今後も安くなり、薬価差益を得ることが更に難しくなっていくでしょう。かといって諦めてしまっては、利益を大きく落とす原因になりかねません。
単に価格交渉を積極的に行うだけではなく、今では納入価格を抑えるために、ネットワーク購入や協同購入などの様々な手段があります。利益を少しでも確保したいという社長の皆様、納入価格をもう一度見直してみてはいかがでしょうか?
わたしたちCBアドバイザリーは、調剤薬局の多様な事業承継のご支援を通し、皆様が大切に運営してきた薬局と地域医療を新しい世代へとつなぐため、<事業承継を検討の薬局>×<独立開業希望の薬剤師>双方の最適なマッチングを行っております。
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