2018年の薬価改定の影響はいかがでしょうか?医薬品の納入価に関して、丁度今交渉をしている真っ最中だと思いますが、今回の改定は特に厳しく今までと違うという声をよくお聞きします。一体なぜ交渉が難航しているのでしょうか。
今回の仕入交渉(納入価交渉)は今までの薬価改定のときよりも難航していると思います。その原因を考えるにあたり、まずは医薬品卸の収益構造を理解していきましょう。
図1をご覧ください。
仕切価はメーカーから卸が商品を仕入れる価格、納入価が卸から薬局が商品を仕入れる価格、薬価が最終的に患者に販売される価格、国で決められた薬価になります。
図1から卸業者はメーカーから仕入れた価格よりも安い価格で薬局に商品を販売していることが読み取れます。安く仕入れて高く売るという単純な構造ではありません。これだけを考えると卸業者が薬局に商品を売れば売るほど赤字になっていってしまいます。
この状況を一次売差がマイナスといいます。当然、卸も利益を生まないと会社自体の存続ができませんので、しっかりと利益を生む必要があります。
下記の図2をご覧ください。
メーカーから高い仕切価で商品を仕入れますが、リベートやアローワンスでマイナスを補い利益を確保しています。リベートとは卸業者から薬局等への販売につき一定金額、一定数量を超える売上を達成した場合などに、契約による割戻基準に基づいた金額が、メーカーから卸業者へ支払われます。アローワンスは販売促進のためにメーカーから卸業者に支払われるお金になります。
これらのキャッシュバックを受けてようやく利益が出る状況です。最終的な薬価は国で決められているので利益を上乗せして売ることも不可能です。限られた金額の中で調整をしていかなければなりません。
その結果、卸業者の決算書などを実際に見てみると、利益率が非常に厳しいのが現状です。薬局で得られる薬価差益も年々減っている状況です。
この状況に国からも、リベートやアローワンスを前提にした仕切価ではなく、できる限りリベートやアローワンスを仕切価に反映させて、一次売差マイナスを解消するようにと指摘をされています。しかし、一次売差マイナスの状況は今に始まったことではなく、10年以上前から続いています。
図3をご覧ください。
図3を見て分かる通り、平成15年より一次売差がマイナスの状況が続いています。厚生労働省では平成19年に「医療用医薬品の流通改善について(緊急提言)」を発表しています。
しかし、平成19年の一次売差が-2.69%だったものが平成27年で-3.22%と一向に改善していません。また、5月30日に行われた流通改善懇談会(第27回)の資料に平成29年度上期のデータが公表されていましたが-3.6%でした。
国では10年以上前から流通改善を考えていたものの、一時売差は一向に改善しません。そこで国は今年度から本腰を入れて動きだしたようです。今年度の薬価改定からリベートやアローワンスありきの仕切価の決め方に関して厳しく指摘をしています。
その結果、今までと同じような状況ではなくなったので仕切価がなかなか決まらない、そして卸と薬局との間でも価格の交渉ができないという状況になっています。これが薬局の経営者にとって仕入れ交渉が難しくなっている1つの原因です。
また、先日の流通改善懇談会(第27回)の中でこのようなことが言われています。
(2)川下流通における課題
③医薬品の価値や流通コストを尊重した価格交渉の推進
・ 交渉代行による取引条件を考慮しないベンチマークを用いた値引き交渉等、医薬品の価値を無視した価格交渉が行われることがないようにすべきである。
・ 同時に、安定供給を維持するための適正な流通コストを考慮した交渉が行われるように取引先に理解を求めてまいりたい。via www.mhlw.go.jp
川上側、つまりメーカー側にも適正な仕切価となるよう指摘がありましたが、薬局等の医療機関に対しても指摘があります。無理な値引きなど今後は更にできなくなることが予想されますので、在庫品のロスや仕入れの方法を今以上に考えていく必要があります。
また、今のまま行けば2019年に消費税増税が行われます。医薬品の共同購入等の仕入れルートの改善、不動在庫の管理や売買のシステムなど改めて考えても良いかもしれません。
わたしたちCBアドバイザリーは、調剤薬局の多様な事業承継のご支援を通し、皆様が大切に運営してきた薬局と地域医療を新しい世代へとつなぐため、<事業承継を検討の薬局>×<独立開業希望の薬剤師>双方の最適なマッチングを行っております。
今後の参考としてご相談されるだけでも構いません。
ご相談は無料です。秘密厳守にて対応いたします。まずはお気軽にご相談ください。