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上場している大手調剤企業の2018年3月決算数字から考える

2018-05-25

大手調剤企業の連結決算(2018年3月期)の結果が出揃いました。2016年の報酬改定にもしっかりと対応が進んだ結果、各企業増収増益という結果を残しました。しかし、皆様もご存知の通り、2018年の報酬改定はかなり厳しいものになっています。各社どのように考えているのでしょうか。

上場している大手調剤企業の2018年3月決算数字から考える

薬局大手企業の2018年3月決算結果

今回紹介する企業は、薬局大手企業といわれる「日本調剤(主な薬局:日本調剤)」「クオール(主な薬局:クオール薬局)」「総合メディカル(主な薬局:そうごう薬局)」「メディカルシステムネットワーク(主な薬局:なの花薬局)」の4社の決算結果を比較していきます。まずは2018年3月決算結果を確認していきましょう。

以下、4社の2018年3月決算結果です。
※括弧内の数字は2017年3月期比較

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日本調剤

連結
売上高 約2,412億円(108.20%)
営業利益 約105億円(124.30%)

薬局事業
売上高 約2,052億円(108.40%)
営業利益 約124億円(129.80%)

M&Aを含め36店舗を新規出店し、8店舗を閉店。新規店舗の増加及び前年出店店舗の売上寄与に加え、改定の翌年度における処方せん単価の上昇などの増収要因は期間を通して継続した。

利益面についても、かかりつけ薬剤師・薬局への取り組み強化などによる調剤報酬の改善、既存店の処方せん枚数の前年同期比増加傾向などにより、大幅な増益となった。

クオール

連結
売上高 約1,455億円(110.70%)
営業利益 約90億円(132.40%)

薬局事業
売上高 約1,351億円(112.00%)
営業利益 約86億円(140.40%)

新規出店21店舗、子会社化による取得14店舗の計35店舗(うち売店1店舗)増加した一方、閉店により13店舗(うち売店3店舗)減少。売上高については、新店及び新規取得子会社が業績に寄与。加えて、かかりつけ薬剤師・薬局の推進やジェネリック医薬品の使用促進により、調剤技術料の収入が増加。

また、適正な在庫管理と医薬品調達コストのコントロールのため、新在庫システムを全店に導入。さらに、顧客満足度向上、業務の効率化のための積極的な設備投資を実施。その結果大幅な増収増益となった。

総合メディカル

連結
売上高 約1,354億円(110.80%)
営業利益 約72億円(115.10%)

薬局事業
売上高 約1,099億円(114.50%)
営業利益 約71億円(117.60%)

当期に18店舗(M&A6店舗含む)を出店。かかりつけ薬剤師・薬局の取り組み、健康サポート薬局の拡大に向けた取り組みを推進。健康サポート薬局の数は当期末で89店舗。

以上の取り組みのほかにも、平成28年12月に取得したみよの台薬局グループ(91店舗)が通年寄与し、増収増益となった。

メディカルシステムネットワーク

連結
売上高 約939億円(105.80%)
営業利益 約32億円(149.70%)

薬局事業
売上高 約872億円(106.80%)
営業利益 約31億円(132.22%)

当期に18店舗(M&A6店舗含む)を出店。かかりつけ薬剤師・薬局の取り組み、健康サポート薬局の拡大に向けた取り組みを推進。健康サポート薬局の数は当期末で89店舗。

以上の取り組みのほかにも、平成28年12月に取得した、みよの台薬局グループ(91店舗)が通年寄与し、増収増益となった。

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売上高4社平均を2017年3月期と比べてみると、平均108.8%となっています。また、営業利益に関しても2017年3月期と比較をすると、4社平均130.4%と4社とも非常に良い結果になりました。特に日本調剤、クオール、総合メディカルの3社は過去最高益を達成しています。

各社、かかりつけ薬局の対応により技術料をしっかりと確保できたこと、M&Aによる店舗展開で規模を拡大していったことが、良い結果を生むこととなりました。

2019年3月期の業績予測

2018年3月期は各社非常に良い結果で終わりました。しかし、2018年は2年に一度の報酬改定がありました。もう既に皆さんもご存知だと思いますが、改定内容も明らかになっており薬局大手企業にとっては非常に厳しい内容となりました。各社の今期の売上げ予測はどうなっているのでしょうか。

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※括弧内の数字は2018年3月期比較

日本調剤

連結
予想売上高 約2,539億円(105.20%)
予想営業利益 約63億円(59.70%)

クオール

連結
予想売上高 約1,520億円(104.50%)
予想営業利益 約80億円(87.90%)

総合メディカル

連結
予想売上高 約1,449億円(107.00%)
予想営業利益 約57億円(80.10%)

メディカルシステムネットワーク

予想売上高 約955億円(101.60%)
予想営業利益 約17億円(53.70%)

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4社とも共通していることは、増収にもかかわらず減益の予想をしています。特に日本調剤、メディカルシステムネットワークの2社は2018年3月期の営業利益が40%以上のマイナスを予想しています。

クオールに関しては薬剤師紹介派遣業、CRO(受託臨床試験実施機関)業等が業績に寄与することで調剤薬局事業のマイナスをカバーし、営業利益12.0%減に抑えています。

総合メディカルは医業支援の売上げが前年比で152.4%と大幅に伸びる予定で、医療機関に対するコンサルティングやリース事業の業績も伸びる見通しです。その結果調剤薬局事業のマイナスをカバーし、営業利益19.8%減に抑えています。

大手薬局企業の決算結果と予測から考えること

大手薬局企業4社の2018年3月期は絶好調だったといえますが、2019年3月期の見通しは非常に厳しいものになっています。報酬改定の影響が大きいですが、その中でもクオールと総合メディカルは減益幅を抑えています。そして両社とも調剤薬局事業以外の収益で補う形をとっています。

今後も報酬改定は2年ごとに行われ、薬価改定に関しては毎年になる予定です。今後も、薬局業界にとって良い改定が訪れることはほとんどないと考えて良いと思います。今回は大手調剤チェーンといわれる大規模な法人にとって大きな打撃となる報酬改定でした。しかし未来を考えると、中小規模の薬局にとっても大きな打撃となる報酬改定も可能性がゼロではありません。

個人で運営をしている薬局など、小規模の薬局であれば工夫次第で将来的にもしっかりと利益を上げることができると思います。しかし、売上を伸ばし収益を上げていこうと思えば店舗展開は必須であり、いずれは4万枚ルールの対象になります。

(今後はもっと厳しくなる可能性も考えられます。)そうなると薬局事業のみで売上を作っていると、報酬改定の度に会社の未来が不安になりビクビクすることになってしまうかもしれません。

よく、着実に強い企業作りをするためには3本の柱が必要といわれます。3本の柱があれば1つの事業が上手くいっていないとき業績をカバーできますし、もしかすると新たな事業が収益の柱となる可能性もあります。実際にクオール、総合メディカルは調剤事業以外の柱があったため減収幅を小さくすることができています。

闇雲になんとなく新事業を拡大することは良くはありませんが、経営者として新たなものに常にアンテナを張っておくことが大切なのだと思います。変化に対応できない企業は淘汰されていくといわれますが、調剤薬局も同じことが当てはまると感じます。調剤薬局を運営しながらも新たな事業ができないか、新たな柱を考えることも必要なのかもしれません。

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照井 雄大

CBグループに入社後、医師の人材紹介を経て、現在開業支援に携わっています。理系の大学出身ということもあり、決算書類等の数字を見ることが好きです。その力を活かして、お客様に説得力と安心感のあるご提案を心がけています。

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